学部ヒエラルキーは存在する?慶應の学部ごとの特徴と比較

学部ヒエラルキーは存在する?慶應の学部ごとの特徴と比較

高校生の間でもネット上でも、「慶應内には学部ヒエラルキーが存在する」という言説がまことしやかに語られています。実際のところはどうなのでしょうか?慶應義塾大学に在籍している学生の立場から、この「噂」を調べてみようと思います。

はじめに

受験生界隈やインターネット上では「大学ヒエラルキーネタ」のひとつとして、「慶應義塾大学には学部内ヒエラルキーが存在する」としばしば語られています。例えば、twitterなどのSNSや「2ちゃんねる」のようなBBSで拡散しているインターネット・ミームにはこのような「私立文系界を国際社会にたとえる」ものがあります。

慶應法:アメリカ。かつてイングランドの入植地として存在感が薄かったが、現在では本家を超え私文界最強と見なされる。ドイツとの戦争にも完勝。
慶應経済:イングランド。英連邦本家だが、アメリカに地位を奪われた。伝統と格式は私文界No.1
慶應商:スコットランド。イングランドから格下に見られがち。
慶應文:カナダ。英連邦の一員だが、独自の道を行く。
SFC:オーストラリア。設立経緯から、他の英連邦から色眼鏡で見られがち。
早稲田政経:フランス。イングランドと拮抗し、アメリカとも張り合う。常任理事国として、私文界1のブランドは自分だと信じる。
早稲田法:ドイツ。フランスの好敵手。欧州屈指の実力で一時No.1も見えたことがあるが、華やかさではフランスにはどうしても敵わない。遅れてきたアメリカに敗北
早稲田商:イタリア。ちゃらく明るいお調子者。欧州の主要メンバーである。
早稲田文:スペイン。かつて最強国と称されるも、今は世を捨てる。
早稲田文構:ポルトガル。スペインの仲間
早稲田教育:ベルギー。地味で目立たないが欧州の一員。
早稲田社学:ギリシャ。他の欧州から蔑視されるも「欧州らしさ」では一番である
早稲田所沢:東欧。西欧に激しい憧れ。返す刀で非欧州に優越感をもつ。
中央法:トルコ。オスマン帝国時代は欧州を凌駕。誇り高い歴史と実績を持つも欧州に憧れる。
上智:アルゼンチン。「実質欧州」なので他の南米諸国(マーチ)と一緒にしてくれるなと不遜な態度。
明治:ブラジル。アルゼンチンに喧嘩を売るも相手にされることは少ない

出典:(筆者再現)

ここからわかるように、どうやら「慶應内でのヒエラルキー」は存在するように思えます。
しかし、実際のところはどうなのでしょうか?
慶應義塾大学に籍を置いている学生という視点から、様々なデータを用いて調べてみました。

慶應義塾大学のキャンパスと学部一覧

まず基本データとして、慶應義塾大学のキャンパスと学部の一覧を見てみましょう。


キャンパス

慶應義塾大学が所有している施設は多くありますが、ここでは「慶應の学部生」が主に通うことになるキャンパスについて紹介します。

①日吉キャンパス

東急東横線・目黒線「日吉駅」を降りてすぐ右手に見えるのが日吉キャンパスです。
多くの学部の1・2年生がここで必修科目や語学などの基礎科目を履修します。サークル活動も豊富です。
銀杏の並木道が印象的で、三田キャンパスなどと比べても「若々しい」雰囲気があります。

②三田キャンパス

「慶應と言えば三田だ!」というくらいに、象徴的なイメージが強いキャンパスです。
都営三田線「三田駅」と、JR山手線・京浜東北線「田町駅」が最寄りになっています(徒歩数分)。
慶應義塾大学の本部があるのも三田キャンパスで、伝統と歴史が最も深い場所でもあります。
主に学部3~4年生がここで研究会(ゼミナール)活動や専攻科目を修めます。慶應義塾大学の学園祭「三田祭」も、ここで開催されます。

③矢上キャンパス

東急線「日吉駅」から徒歩数分で矢上キャンパスにたどり着くことができます。
もともとここには、慶應卒業者で実業家の藤原銀次郎が日吉キャンパスのすぐそばに創立した「藤原工業大学」がありました。戦後、この大学は「慶應義塾大学理工学部」として寄付されました。このような経緯なので、理工学部の3~4年生が主に使うキャンパスとなっています。

④信濃町キャンパス

JR中央線・総武線「信濃町駅」から徒歩1分で、医学部・看護医療学部の学生がここで専門的な授業を受ける「信濃町キャンパス」に行くことができます。慶應義塾大学病院がそばにあり、まさに「医学の塔」として、慶應内でも異彩を放っています。

⑤芝共立キャンパス


JR京浜東北線・東京モノレール「浜松町駅」、都営三田線「御成門」、都営浅草線・大江戸線「大門」から徒歩数分で到着するのが、薬学部の学生が通う芝共立キャンパスです。もともとは「共立薬科大学」という薬学系単科大学があった場所ですが、慶應義塾大学薬学部として合併されて「芝共立キャンパス」となっています。アクセスの良さはトップクラスです。

⑥湘南藤沢キャンパス

小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄ブルーライン「湘南台駅」、JR東海道線「辻堂駅」から「慶應大学行」のバスで15~25分で到着するのが湘南藤沢キャンパス(略:SFC)です。総合政策学部・環境情報学部・看護医療学部の学生がここで授業を受けます。神奈川県の藤沢市にありアクセスはお世辞にも良いとは言えませんが、革新的で独創的な学部のメインキャンパスでもあり、独特の雰囲気があります。

学部

慶應義塾大学には、合わせて10のキャンパスがあります。
それぞれの特徴と対応キャンパスを見ていきましょう。

文学部:1年生は日吉、2年生から三田に移ります。
経済学部:1~2年生は日吉、3~4年生は三田に移ります。
法学部:1~2年生は日吉、3~4年生は三田に移ります。
商学部:1~2年生は日吉、3~4年生は三田に移ります。
*この4学部がいわゆる「日吉・三田組」で、慶應文系の「核」が集中しています。

理工学部:1~2年生は日吉、3~4年生は矢上に移ります。
薬学部:1年生は日吉、2年生以降は芝共立に移ります。
医学部:1年生は日吉、2年生以降は信濃町に移ります。
看護医療学部:1~2年生は湘南藤沢、3年生は信濃町に写り、4年生は湘南藤沢と信濃町の両方になります。
*看護医療学部はやや異色ですが、慶應理系の「核」となっています。

総合政策学部:1~4年生まで湘南藤沢になります。
環境情報学部:1~4年生まで湘南藤沢になります。
*入学から卒業まで湘南藤沢キャンパスで過ごし、他の学部との交流は(サークルなどを除いては)ほぼ存在しません。独立した別大学のようなイメージがあります。「SFC」と一括りでまとめられることが多いです。

偏差値・併願状況から見る難易度・人気の比較

慶應大学の2015年時点での偏差値状況は、以下のようになっています。

文学部:65
経済学部:67.5
法学部:70
商学部:67.5

理工学部:65
薬学部:65
医学部:72.5
看護医療学部:60

総合政策学部:72.5
環境情報学部:72.5

これを見ると、「2科目+小論文」をメインとする<日吉・三田組>の入試偏差値では法学部が抜きん出ています。「1科目+小論文」をメインとする<SFC組>はいずれも72.5と高い水準を保っています。理系学部も、他大学と比較してトップクラスのレベルにあります。

ちなみに、エスカレーターの付属校である慶應義塾高等学校・湘南藤沢高等学校では校内の成績が進学する学部に影響することがあります。文系を選択した内部の学生にとっては、法学部が一番人気で、経済学部・商学部・SFC・文学部と続いています。理由としては、「法学部、特に政治学科は、授業でそこまで数学を使わずに単位を取りやすいし、就職でも潰しが効きそう」というものが挙げられ、法学部に内部進学するには、高成績が求められます。ここを見ても、法学部が一つ頭抜けているように思えます。

また、学部の併願状況では、科目が共通している<日吉・三田組>と<SFC組>での併願率が高いことがわかります。これらの状況を踏まえれば、偏差値トップの法学部が人気であることが推測されます。

学部ごとに見る就職力・就職率

ここでは、就活における主要学部である<日吉・三田組>(+理工学部)と、<SFC組>の就職データを見てみましょう。

文学部・経済学部・法学部・商学部のいずれも、『みずほフィナンシャルグループ』『三菱東京UFJ銀行』『三井住友銀行』などの銀行や、『東京海上日動火災保系』『日本生命保険』といった保険会社、『野村證券』『大和證券』といった証券会社など金融業界への就職が強いことが明らかになっています。
また、法学部・経済学部では商社や広告代理店へ行く学生も見られます。
しかし、文学部からこのような大手企業へ就職した学生の多くは女子採用となっています。このことから、経済学部等とは異なり、いわゆる「総合職採用」の数は少ないと推測されます。

理工学部は流石というべきか、『富士通』『キヤノン』『日立製作所』などのメーカーを始め、『東京電力』のようなインフラ系企業の就職も強いです。また、意外なことに金融系の企業へ進む学生も多いことがわかりました。

SFCは「文理が融合している」という学部の特色がよく現れており、金融や広告代理店に加え、IT系企業の割合が多く見られます。

総括すると、文系学部ではやや文学部が弱いものの、いずれも良好な就職力であると言えます。
特に経済学部・法学部・理工学部ではその強みが出ていることがわかります。

比較に基づいたランキング・ヒエラルキー

それでは、ここまでの比較と、実際に自分が感じる学内での印象も踏まえつつ「ヒエラルキー」の真偽について触れていこうと思います。


まず、これまでに述べたデータだけで考えると、学部内の総合的なヒエラルキーは
★医学部>理工学部・経済学部・法学部>商学部・薬学部>総合政策学部・環境情報学部≧文学部・看護医療学部
といった形になるかもしれません(あくまで一例です)。

しかし、結論から言えば、多くの慶應大学生は

学内で明確なヒエラルキーは存在しないと考えているものの、うすうす感づいているところはある

という状態だと筆者は考えています。
一般入試の難易度(人気)や内部進学の人気、就職状況などを考慮すると、学部間にも「数字上の差」が存在することは確かですが、それでも「○学部だから…だ!」といった風に比べることはありません。

しかしそれでも先行するイメージとして、例えば法学部の筆者としては
"SFCの異端感"
"文学部男子のミステリー感"
"商学部のおちゃらけ感"
"看護医療学部の『え?看護学部なんてあったの?』感"
"薬学部の『影薄すぎるでしょ』感"
"医学部の『雲の上の人』感"
といった感情をどういうわけか抱いています。

理由としては、やはり上記に述べたようなキャンパス所在地、入学難易度、就職実績などで「うすうす」感じているものがあるのでしょう。

おわりに

いかがでしたか。
日本人は昔から「番付」「ランク付け」という行為を愛してきました。
江戸時代には「観光名所番付」「"山"番付」といったものも出版されたほどです。
この「大学ヒエラルキー」もその番付文化のひとつなのかもしれません。もちろん、このような「学歴」系の番付話は、デリケートなのであまり声を大きくして言える話題ではありませんが、twitterやネット掲示板などで根強く「ネタ」が広まっていることからも皆が気になる情報なのでしょう。
是非、この記事もひとつの意見として参考にしていただけたらと思います。

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たかみ

慶應義塾大学法学部に在籍している2年生かつ、底辺高校出身、元学校嫌いの意識低い系。自分の経験を踏まえてモチベーション・自己管理などの記事を発信したいと思います。また、家庭教師・個別指導のアルバイト経験を活かして受験勉強に関する情報も発信できたらと思います。

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