レビュー:"ダメ受験生"を看破する!『合格る技術』の内容と感想

レビュー:"ダメ受験生"を看破する!『合格る技術』の内容と感想

参考書や予備校の講座をたくさん集めて勉強する学生。ノートを綺麗に取る学生。わかるまで勉強する努力家な学生。本書は、そんな「がんばる」受験生を"全否定"。「がんばらない」のに効率的な学習方法を説明してくれます。受験生必見。

はじめに

ベストセラー『合格る技術』の著者である宇都出雅巳氏。宇都出氏は、高校3年夏の模試で東京大学F判定から、独自の勉強法により半年で東京大学文科Ⅱ類へと合格しました。卒業後は経済紙記者やコンサルタントを経て、ニューヨーク大学スーターンスクールでMBAを取得、トレスペクト経営教育研究所を設立しました。現在は、同研究所の代表を務める傍ら、勉強アドバイザーとして速読術や試験勉強の効率化などに関する著作活動を行っています。

今回紹介する『合格る技術』もまた、宇都出氏の思考法をもとに執筆された本で、とくに『勉強の効率化』という点で、大学受験をがんばる受験生にとって興味深い内容となっています。今回はその内容の一部を紹介、レビューを行いたいと思っています。

『合格る技術』の方法論紹介

"がんばらない"受験生になれ!

本書の大きなメッセージの一つとして挙げられるのが、上記に述べた「がんばらない受験生を目指せ!」ということです。

冒頭では、
・参考書や予備校の講座をたくさん集めて勉強する学生
・ノートを綺麗に取る学生
・わかるまで勉強する努力家な学生
・まとまった時間で机に向かう学生

といった「がんばる人」がいかに"もったいない"時間の使い方をしているかについて説いています。ただし「がんばる人」はTwitterや勉強系のSNSをやっている学生に多いですし、多くの学生にとってはやや反感を買う内容かもしれません。「じゃあ、どうすればいいんだよ!」と思う受験生も多いと思います。正直、ごもっともです。

しかし、この本では「具体的にどのようにするか?」という方法論についてもしっかり語られており、そこにはしっかりとした説得力があります。

それでは実際に、次段で実際に本書で語られている方法論をいくつか抜粋して説明したいと思います。

その1:ノートを作らない

少し前に、『東大合格者のノートはかならず美しい』という本が話題を呼びました。
整理された綺麗なノートを取ることで勉強の効率が増し、知識の定着もするという論理です。
一方で『合格る技術』では、ノートを綺麗に取ることのメリットを認めながらも、基本的には「無理にノートを取るな!」という論調です。

もしあなたが、自然に、がんばらずにキレイで整然としたノートを取れるのであれば、そうしたらいいでしょう。でも、ああいった本に影響されて「自分もキレイに整然としたノートを取らなければ……」なんてがんばりはじめたとしたら、そんな「がんばり」は無駄です。そして、かえってあなたを合格から遠ざけてしまいます。

なぜなら、ノートをとることに時間を奪われ、エネルギーも余計に使ってしまい、肝心の繰り返しができなくなるからです。ノートを取ったり、作ったりするのに時間屋エネルギーを使うくらいであれば、教科書や参考書を読んだほうが楽ですし、時間の無駄がなくなります。

…(中略)…「何か新しいこと、教科書や参考書に載ってないことがあったらどうするんですか?」と思うかもしれません。そんなときは、教科書や参考書に直接書き込んでしまえばいいのです。教科書や参考書を、すでに整理されたノートだと思ってどんどん書き込んでしまいましょう。

出典:『合格る技術』より

上記を見て、うなずく人も多いのではないでしょうか。

誰かに見られても恥ずかしくないような、「見せるための」ノートを取っている学生も一定数いますが、学習の効率化・知識の定着という観点で果たしてそれに意味があるかと言われれば微妙なところではあります。「ノートを取る」ことが神格化されている点を否定することは難しく、その意味で画期的な論理であることは確かです。

その2:高速回転勉強法

「がんばらない」受験生になるための方法論の1つとして紹介されているのが「高速回転勉強法」です。
これは、端的に言えば「速読⇒理解⇒2回目の速読⇒2回目の理解…」というサイクルを繰り返すということです。確かに「速読じゃ理解できなくない?」と思うかもしれませんが、本書では2つの理由で「速読するから理解できる」ことを説明しています。

その理由とは、
①読むスピードを上げつつ読書のスパンを縮めることで、内容を忘れないまま次に進むことができ、読み進めるうちにいま理解できないことでもわかるようになる。
②1度目よりも2度目の方が速く読むことができるようになり、読解を高速スパンで繰り返すことで文章の全体図が見えるようになり、個々の記述も理解できるようになる。

というものです。どちらも理解できるものだと思います。
『エビングハウスの忘却曲線』(人間の記憶は反復を繰り返すことで定着する)の論理から見ても、上記の2点は、"くりかえし速読する"ことが長期的な暗記につながりやすいことを示唆しています。この点から考えると、確かに机にかじりつく勉強は効率的ではないかもしれませんね。事実、本書では「繰り返しこそが記憶の母」であるというメッセージを一番に打ち出しています。

『合格る技術』の個人的感想

良かった点:とにかく「要領が良い」!

この『合格る技術』、記事で紹介した以上に沢山のノウハウが紹介されています。記事の関係上、上段の2つに絞って内容紹介を行いましたが、他のノウハウにもすべて説得力がありました。

筆者自身は、「ノートをしっかりと取って理解する」タイプの受験生でした。本書の論理で言えば「ノートが性に合う」人だったのでしょう。しかし、それでも"高速回転勉強法"とほぼ同じようなことは無意識にやっていました。また記事で紹介したもの以外にも、基本的な思考の筋が一致している部分が多かったです。その意味で、この本は『成績が中~上位くらいの受験生が色々と試行錯誤して見つけるような方法論の中から、特に効率的なものを整理して抜き出している』と言ってよいでしょう。とても要領のいい本だと思います。

良くなかった点:クレバー過ぎない?

『合格る技術』が紹介する思考法・勉強ノウハウは、質・量ともに満足のいくものです。しかし一方で、「ちょっとクレバー過ぎない?」「地頭が良すぎる人が書いた本だな」という印象も受けました。

ものごとの理解が早い人・頭の回転が早い人がこれを読み、方法論を実践する場合は非常に効果的だと思います。一方で、筆者のように「頭の回転にあまり自信がない…」「時間はかかってもいいから、少しずつ理解をしていきたい」「がんばることに意味がある!」と思いがちな人が無理をしてこの本の真似をしても、あまり伸びはないかもしれません。しかし、過去問の捉え方・付き合い方などの「思考術」という点では誰しもが納得できるものだと思います。全てを実践するのもいいですが、「自分が今やっている勉強法を整理するために参考程度に読む」のでも十分に効果があるかと思います。

おわりに

いかがでしたか。
記事で述べたように、『合格る技術』は非常に要領のいい本で、記事で紹介したもの以外にも沢山のノウハウや思考法が載っています。もちろん各人の性格によって、どこまで効果があるかは変わってきますが、どこかではかならず納得できる部分があると思います。一度書店で手に取って読んでみてもいいでしょう。おすすめです。

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この記事のライター

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たかみ

慶應義塾大学法学部に在籍している2年生かつ、底辺高校出身、元学校嫌いの意識低い系。自分の経験を踏まえてモチベーション・自己管理などの記事を発信したいと思います。また、家庭教師・個別指導のアルバイト経験を活かして受験勉強に関する情報も発信できたらと思います。

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