早慶と上智を比較するー歴史・受験・就職から考える「差」

早慶と上智を比較するー歴史・受験・就職から考える「差」

早慶上智と一括りにはされるけれど、実際のところ「早慶」にとって「上智」には格下で、なにか溝があるんじゃないか?と考える受験生は少なくありません。今日はこの「早慶」と「上智」の溝を①歴史、②受験、③就職の3つの観点から比較・検討してみたいと思います。

はじめに

皆さんは上智大学(Sophia University)にどんなイメージがあるでしょうか?
受験生の間では、「お洒落」「美男美女揃い」「リア充」「英語に強い」「難関私立」といったプラスな印象が多いようです。

そんな「キラキラしてる大学」筆頭の上智大は、インターネット上でも有名です。
上智大では毎年7月に学生が浴衣を着て通学する「上智大学浴衣デー」を開催しており、東京のおしゃれな難関大学としてインターネットでも認知されているのではないでしょうか。



しかし、そんなプラスイメージだらけの上智大学でも、「受験生」の目線から見ると少しだけ気になる点があります。それは、「早慶上智と一括りにされているけど、早慶と上智って差があるんじゃないの?」ということです。確かに上智大学は素晴らしい大学ですが、この点についてはイマイチはっきりしていません。

今日はこのことについて、
①一般的なイメージや歴史的な観点
②受験的な観点
③就職的な観点
の3つから考えていきたいと思います。

①歴史から見た「早慶」と「上智」の差

一般的に上智大学といえば、「早慶上智」という括りで難関私立大学の一つとして認知されています。

しかし、上智大学がキリスト教カトリックの「イエスズ会」により1913年に設立されたのに対して、1882年に東京専門学校として出発した早稲田大学、1858年に蘭学塾として出発した慶應義塾大学と比較すると、その歴史はやや新しいものであると言えるでしょう。

早稲田・慶應義塾はそれぞれ大隈重信・福沢諭吉という明治期の日本を牽引した人物によって創立されたことも相まり、戦前から一定の知名度がありました。野球の早慶戦は1903年に初戦が行われ、明治後期より両者は「ライバル校」として切磋琢磨し合ってきた伝統があると言えます。一方で、上智大学の知名度・難易度が上昇したのは戦後になってからのことで、その意味で言えば、「伝統」の面で早慶にやや負けている点は否めません。

特にこの点を端的に示しているのが、1927年に出版された「銀行会社工場商店 従業員待遇法大鑑」です。戦前の昭和期に財閥企業が設定した各大学別の初任給をリスト化してあります。戦前の財閥といえば、日本の経済を牛耳る超巨大企業。戦後、GHQによる分割・再統合を経た今の財閥系企業とは比べ物にならない支配的地位を独占していました。そんな戦前の財閥にとっての各大学の「格」はどのように給料に反映されていたのでしょうか。

【主要企業の出身校別初任給】
*昭和初期の1円≒現在での約3000~4000円

(住友)
80円 帝大 
70円 東京高商、神戸高商、東京高工 
65円 他高商、早稲田 慶應 明治  
60円 東京外国語学校、大阪外国語学校、大倉高商 
55円 その他私立大学 

(三菱)
90円 帝大(医工)  
80円 帝大(法文)東京高商 
75円 神戸高商、早稲田 慶應
65-70円 他高商、明治中央法政

(安田)
70円 帝大
70円 東京商大
60円 明治
50円 神戸高商

(三井物産)
80円 帝大、東京商大、神戸高商
72円 明治 
64円 他高商

(帝国生命)
120円 帝大(医工)
75円  帝大、東京商大
65円  早稲田 慶應
50円  神戸高商


*帝大        ≒現在の旧帝国大学
*東京高商・東京商大 ≒現在の一橋大学
*東京高工      ≒現在の東京工業大学
*神戸高商      ≒現在の神戸大学
*大倉高商      ≒現在の東京経済大学
*大阪外国語学校   ≒現在では大阪大学と統合

出典:ヱコノミカルアドヴァイサー(1927年)「銀行会社工場商店 従業員待遇法大鑑 」 宮田吉蔵 編

資料を概観すると、やはり旧帝大・一橋・東工といった上位国立大が圧倒的な強さを持っていることがわかります。日本の教育史を踏まえると、昭和初期では「国立大学」が重宝されるのは不思議ではありません。

しかし、資料で注目すべきなのは、国立大学には劣るものの、早稲田・慶應(+明治)が他の諸私立大学とは異なり、明確にランクを付けられて評価されていることでしょう。三菱では中央や法政も同じように評価されていますが、肝心の上智はこの時点では明確な評価を与えられていないようです。

その意味でも、「伝統(歴史)」の観点では上智より早慶に軍配が上がると言えそうです。

②受験における「早慶」と「上智」の差

戦後になり、上智大学はGHQ/SCAPの兵士とその子弟の高等教育機関として指定され、国際部夜間部が設立されました。当時には少ない国際性、少人数教育、四谷の好立地という点が評価され、徐々にその人気を高めていきました。1960年代後半に始まった大学紛争も上智大学では早期に終了し、東大・早慶のように受験生確保に問題を持つことはありませんでした。1970年代以降、上智大学は早慶と並ぶ難関私立大学の一角としてその地位を持つようになりました。

それを踏まえて、現在の早慶・上智大学の偏差値を比較してみましょう。

【上智大学】
神学部      偏差値 55.0~57.5
文学部      偏差値 57.5~65.0
総合人間科学部  偏差値 55.0~65.0
法学部      偏差値 62.5~65.0
経済学部     偏差値 60.0~65.0
外国語学部    偏差値 60.0~67.5
総合グローバル  偏差値 60.0~65.0
理工学部     偏差値 60.0~62.5

【早稲田大学】
政治経済学部   偏差値 67.5~70.0
法学部      偏差値 67.5
文化構想学部   偏差値 65.0~67.5
文学部      偏差値 67.5~70.0
教育学部     偏差値 60.0~65.0
商学部      偏差値 65.0
基幹理工学部   偏差値 62.5~65.0
創造理工学部   偏差値 62.5~65.0
先進理工学部   偏差値 60.0~67.5
社会科学部    偏差値 67.5
人間科学部    偏差値 60.0~65.0
スポーツ科学部  偏差値 60.0
国際教養学部   偏差値 65.0

【慶應義塾大学】
文学部      偏差値 65.0
経済学部     偏差値 67.5~70.0
法学部      偏差値 70.0
商学部      偏差値 65.0~67.5
医学部      偏差値 72.5
理工学部     偏差値 62.5~65.0
総合政策学部   偏差値 70.0
環境情報学部   偏差値 70.0
看護医療学部   偏差値 60.0
薬学部      偏差値 65.0

出典:https://passnavi.evidus.com/search_univ/2470/difficulty.html

上智大学は特定の学部(神学部)で偏差値の低さが目立つものの、基本的には早慶の各学部とあまり変わらない高偏差値を誇っています。特に外国語学部は名門で、早慶の上位学部に匹敵する難度をもつ看板学部と言えるでしょう。

入試問題のレベルも非常に高く、特に英語は英字新聞や小説などから多く出題され「大量の英文を高速で読解する」タイプの問題が繰り出されます。学部にもよりますが、基本的に早慶が「受験英語」的な問題を出すのに対して、上智は実用的・現代的な問題を出題してきます。感覚としてはTOEICに近いものだと言えるでしょう。また英検と共同で開発した「TEAP」を利用した入試を打ち出しており、こと英語に関しては入試制度・難易度ともに早慶の一歩先を進んでいると言えます。

日本史・世界史も早慶とは異なり、「文化史」を重点的に出題してきたり、未見の資料に対して「推論」を求めるような問題を出してくる点で、単なる暗記クイズではありません。早慶も「推理力」は求められますが、それでも単語の暗記量を重視する部分があります。その意味で言えば、上智大学のほうがより「頭の柔らかさ」を求めてくると言えます。入試制度が多様化する日本社会においては、上智大学的な入試こそが"良い"問題だと言えそうです。

③就職から見た「早慶」と「上智」の差

では、就職の面で早慶と上智の差はあるのでしょうか。
大学が公表しているデータを踏まえて、慶應・上智で比較してみました。
(早稲田は詳細データ不在のため割愛)

【上智大学 2015年上位就職先】

1 みずほフィナンシャルグループ :男子23/女子22
2 三井住友銀行         :男子15/女子16
3 三菱東京UFJ銀行       :男子7/女子17
4 全日本空輸         :女子23
5 損害保険ジャパン日本興亜   :男子4/女子15
6 NTTデータ          :男子12/女子6
7 日本アイ・ビー・エム     :男子8/女子10
8 東京海上日動火災保険     :男子2/女子12
9 KDDI            :男子7/女子6
10 大和証券          :男子7/女子6
11 日産自動車         :男子9/女子4
12 日本電気          :男子3/女子10

出典:www.sophia.ac.jp

【慶應義塾大学 2015年上位就職先】
1 みずほフィナンシャルグループ   :男子110/女子60
2 三井住友銀行           :男子76/女子33
3 東京海上日動火災保険       :男子40/女子59
4 三菱東京UFJ銀行         :男子47/女子33
5 慶應義塾大学病院          :男子0/女子75
6 三菱東京UFJ信託銀行       :男子40/女子17
7 三井住友海上火災保険       :男子30/女子17
8 損害保険ジャパン日本興亜     :男子22/女子25
9 野村證券             :男子40/女子6
10 東京都              :男子23/女子20
11 三菱商事             :男子28/女子14
12 SMBC日興證券          :男子36/女子6

出典:www.gakuji.keio.ac.jp

上智・慶應では学生数や学部種類も異なるので数字の多寡はあまり関係ありませんが、注目すべきは男子・女子の比率です。

早慶上智MARCHといった難関私大全般の一般的な特徴として、金融業界への就職者数が多いことが挙げられますが、MARCHクラスになると女子の一般職採用が内訳の大多数を占める傾向にあります。この点、上智・慶應は男子・女子ともにしっかり総合職採用を決めていることは特筆すべきことでしょう。

また、上智大学の女子学生は全日空空輸の就職に圧倒的な強さを持っているようです。上智大学のもつ語学教育と華やかなイメージが、客室乗務員としての採用にプラスの影響をもたらしていると言えそうです。

ただし、①で述べた「伝統」と関連して、早慶と比較して上智大学はOBの組織力・愛校心はそこまで強くないようです。慶應は三田会、早稲田は稲門会と、就職した先の企業でも大学同窓生同士の密なつながりがあります(特に慶應)。一方で、上智大学にはそこまでのコネクションは見られないようです。

まとめ

これまでの内容を総括すると、

①歴史・伝統の面では上智よりも早慶に軍配が上がる。
②受験偏差値・難易度の面では上智と早慶はほぼイーブンの関係にある。
③就職は上智と慶應(早稲田)でそこまで格差はない。一方でOBの伝統的な「つながり」は早慶の方が有利かもしれない。

というところでしょうか。
都内一等地の四ツ谷でのキャンパスライフ(4年間ずっと四ツ谷!)、充実した外国語教育は上智大学のもつ強みでしょう。早慶は大学のカラーが特徴的すぎる傾向がありますが、上智大学はこの点すべてスマートにまとまっている印象です。早慶のどっちも好きになれなさそうな受験生は、上智大学を目指してみてはどうでしょうか。

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Tutee 編集部

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